激走の果て:第5回P1グランプリ結果発表【81感門】

2023/03/19(日)22:00
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81感門P1グランプリ

日に夜を継いで、夜に日を継ぐ」2週間だった。ほうき・はさみ・フィギュアをテーマにしたハイパーなミュージアムのプランとプレゼンテーションを練り上げながら、3教室の学衆と師範代は激走した。

 

[破]の編集稽古の総決算でもある「プランニング編集術」。ここで仕上げられた49破10教室の全プランの中から、特に輝く3作品のプランとプレゼンテーションが披露される破のクライマックスシリーズ、それが「P1グランプリ」だ。

ダメ出しから立ち上がり、寝不足も乗り越えた激走の果てに、3人の審査員から2票を得て、第5回を迎えたP1グランプリを制したのは、はさみをテーマにした「破叉美有事庵」(はさみゅうじあん)だった。プランナーは「まんなか有事教室」学衆・宮田一宏。「はさみ×ミュージアム」から名付けた「破叉美有事庵」館長を宮田が、主任学芸員を同教室学衆・飯田泰興が擬いて、プレゼンテーションを行った。登壇したのは限られたメンバーだったが、出場が決まってから「まんなか有事教室」が一致団結して勝ち取った優勝だった。

 

P1グランプリ投票_81感門

審査員の松田、山田の2票を得て優勝した「破叉美有事庵」。審査員・山田細香は、自身が仕事で使うカッターと対比して、鋏には摩擦があるからこそ周囲に変化をもたらすことに触れて、評価した。

 

グランプリに輝いた「まんなか有事教室」には、審査員・松田行正から、著書の『アート&デザイン表現史 1800s-2000s』が、共に激走した参加者にはイシスキャラメルが贈られた。

 

P1グランプリ表彰_81感門

もっと直球に「UXミュージアムでも良かった」とネーミングにさらなるディレクションを寄せる松田行正審査員。

  • 米田奈穂

    編集的先達:穂村弘。滋賀県長浜出身で、伝統芸能を愛する大学図書館司書。教室名の「あやつり近江」は文楽と郷土からとられた。ワークショップの構成力に持ち前の論理構築力を発揮する。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。