【参丞EEL便#036】AIDAシーズン3、閉幕へ

2023/03/01(水)12:00
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かつて校長は、「”始末”とは、終わりのことですが、エンディングとビギニングは一緒だということ。歌舞伎役者が最後に舞いたい踊りは、自分を目覚めさせる踊りかもしれないわけで、終わりのメッセージとは、何か始まりを感じさせるものでもあるんですね。」とフジテレビ『オデッサの階段』最終回で語ったことがある。

 

今週末の3月4日に、[AIDA]は、エディティングプラットフォームとなって3期目のシーズンを終える。最終講でも、これまでの議論を総括しつつ、新たな視点や視座や視界が交わされ、問われることになる。

 

それまでの15年のユニバーシティ=企業塾としての役割を果たし、[AIDA]がプラットフォームとなってからは、松岡座長とゲスト陣に「AIDAボード」を加え、全6回の「ライブセッション」、師範代が半年間”壊す・肖る・創る”の変容プロセスをかき混ぜるオンラインの「連」、Webや紙メディアでの発信と、別様の問いやモデルをよびさます「問感応答返」をおこすトポスになった。

 

毎期、変貌もしている。新たな仕立てをビギニングする。今期は、『知の編集工学』を必読書に、吉村林頭の『知の編集工学』”義疏”が全6回を通底し、座衆は編集工学のドローンを響かせながら、最後に”自論”を描き創るプロセスとなった。最終講は、各組織や企業の幹部やリーダーが、今期のテーマを通して、どんな視点が壊され、新たな視界がおぼろげながら開いたかが、表沙汰になる場になる。

 

来期は、以前は恒例だった「国内合宿」(今福龍太さんをお呼びした奄美合宿が”AIDA留年生”の中で格別として伝説になっている)が、蘇りを起こすかもしれない。オンライン参加の可能性も広げたい。今期の仕舞いと、来期の予告の報をお待ちいただきたい。

 

[編工研界隈の動向を届ける橋本参丞のEEL便]
//つづく//

  • 橋本英人

    函館の漁師の子どもとは思えない甘いマスクの持ち主。師範代時代の教室名「天然ドリーム」は橋本のタフな天然さとチャーミングな鈍感力を象徴している。編集工学研究所主任研究員。イシス編集学校参丞。

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コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。