【申し込み開始!】法政大学前総長・田中優子氏がソロ講義 江戸の編集力を現代人が身につけるために

2022/12/27(火)18:06
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日本社会は停滞している。諦めムードが漂って久しい。戦争は続き、政治も変わらず、地球温暖化にも歯止めがきかない。山積する問題を前に、改革の掛け声よりもため息のほうがさきに出る。

イシス編集学校校長・松岡正剛は言った、「この社会は編集を終えようとしている。だから僕はそれにあらがいたい」。かつて日本には一人ひとりがいきいきと暮らし、社会がつねに編集されていた時代がある。それは江戸だ。

 

法政大学前総長で江戸文化研究者の田中優子氏は、現代に生きる日本人の諦念は、SNS時代ゆえの無言の同調圧力に由来するのではと考えている。

「現代は、人とは違うことを言う恐怖感が明らかに強いと思います。江戸時代には多少人と違うことを言ったとしても、せいぜい、ごく近くの人に眉をひそめられるだけ。武士階級でない限り、自分の思いが多くの人に知られることなどありませんでしたから、ほとんどの人にとっては監視社会ではありませんでした」

 

江戸は、新たなアイデアが生まれやすい土壌をもっていた。かといって、現代人が江戸時代にタイムスリップするわけにもいかない。閉塞感をおぼえる人たちはどうすればいいのか。田中氏は言い切った。

「イシス編集学校という結社があります」

「ここには、社会を編集していくことをためらわない人たちがいます」

 

イシス編集学校は、世間のルールに呑み込まれないアジールとして存在している。「学校」と名がつくものの、文科省の管理下にはない。また、一般的な私塾とも異なり、知識を詰め込むような教育をするわけでもない。さらにいえば、ここで学んだからといってビジネス上の出世に役立つわけでもない。それなのに開校以来22年間で3万人が学んでいった。ここには何か、自由への方法がある。

 

2023年1月15日(日)14時〜17時、田中優子氏によるレクチャーが東京・豪徳寺の本楼にて開催される。題して「田中優子の編集宣言」。なぜ、現代において編集力が重要なのか。江戸の私塾や現代の学校と比べて、イシス編集学校のなにが特殊なのか。どうしてイシスではみんなが楽しそうにしているのか。長らく大学教育に携わりながら、自身でもイシスの[守][破][離]のコースを修了した田中氏だからこそ見えた編集稽古の可能性が語られる。

 

事前打ち合わせに際し、田中氏は「イシス編集学校が実践している『才能を伸ばす方法』は、確実に効果のある学び方。だから、イシスを世に広めることが社会のためになる」と意気込む。田中氏は、イシス編集学校50[守]学衆や指導陣から事前に寄せられた質問すべてに赤ペンで応答。番外編の質疑応答だけでも2万字を超える大ボリュームとなった。

 

熱の入った特別講義は、学衆たちも待ち望んでいる。田中氏が出演するTBSテレビ「サンデーモーニング」を撮りため、かつ毎日新聞や朝日新聞での寄稿記事を切り抜くファンもいれば、このレクチャーを目当てに入門した学衆も、この日のためにハワイから一時帰国した師範もいるとか。

田中氏は明言する。「イシス編集学校は極めて個性的で、理想の教育現場」。日本の未来は、このイシス編集学校が担っているのかもしれない。

 


イシス編集学校第50期[守]特別講義

 

「田中優子の編集宣言」

~法政大学前総長が語る「これからの編集力の必要性」~

 

□日時:2023年1月15日(日)14:00~17:00

  • □ご参加方法:zoom開催。お申し込みの方にzoom URLをご案内します。未入門の方も入門済の方も、どなたでも参加可能です。
  • □ご参加費:3,500円(税別)
  • ■参加申込:https://shop.eel.co.jp/products/detail/503

主催:イシス編集学校

 

2023年5月開講 51期基本コース[守] 受講生募集中

https://es.isis.ne.jp/course/syu

 

アイキャッチ・記事中写真:後藤由加里

  • 梅澤奈央

    編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
    イシス編集学校メルマガ「編集ウメ子」配信中。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。