フリーザであり、胡蝶しのぶ それが[守]師範だ

2022/11/10(木)22:04
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 『ドラゴンボール』でいえばフリーザ。『鬼滅の刃』でいえば胡蝶しのぶ。師範の尾島可奈子を見立てで学衆に紹介したのは2人の師範代だ。破壊と再生。視野の広い編集力を持つ尾島は、たしかに両方を兼ね備えている。

 

 50[守]が開講して1週間が過ぎた頃、10人の師範が次々勧学会に登場した。森本康裕は電信柱の影にひそんで、この日を待ち続けたという。

電信柱の影からみなさんの様子を見守りながら10日ほど。

そろそろ私も仲間に入れてもらおうとやってまいりました。


 あやしい人?と勘ぐってはいけない。電信柱は編集稽古004番『「地と図」の運動会』のお題でもある。学衆がすぐに回答で歓迎した。

【図】電信柱
⇒(異次元イーディ教室)を「地」にすると(森本師範の隠れ蓑)
ですね。

《図》=電信柱
 ━━━━━━━━━ ⇒【追跡中に隠れて覗く場所】
《地》=探偵(か師範)
という回答を作ればよかったです!


 この応じ方が、師範にはうれしい。ガッツポーズしたくなる。ところで、師範は勧学会で何をするのか。加藤めぐみはこう話す。

みなさんと編集について(つまり、照合と連想と冒険について)
語り合ったり、差し入れを持ってきたりしながら、
卒門までの道中をご一緒いたします。

ベテラン師範の渡辺恒久はこうも言う。

時にはただ遊びにくることもあるかもしれませんが、
とにかく、みなさんをもてなし応援してまいります。

 師範代にとっても学衆にとっても心強い応援団。それが師範。登場するとさっそく学衆から質問がとぶ。そして師範に向けた決意表明もあった。

まだ「?」ばかりですが、「!」にかわるときが来ると信じて、
そして、とにかく楽しんで、
稽古に励みます。

 勧学会への差し入れにも師範のカラーは表れる。「イシス随一のカレー数寄」佐藤健太郎が、カレーで編集を語り出せば、阿曽祐子は学衆の回答を手際よく再編集して見せる。阿部幸織は「地と図」を使った自己紹介をスタート。勧学会に新たな風が吹き始めた。

 

 師範は孫悟空や竈門炭治郎にはならない。編集稽古の主人公は師範代と学衆だから。だが、フリーザや胡蝶しのぶとなって稽古のワキをしっかり固める、それが師範なのだ。

  • 景山和浩

    編集的先達:井上ひさし。日刊スポーツ記者。用意と卒意、機をみた絶妙の助言、安定した活動は師範の師範として手本になっている。その柔和な性格から決して怒らない師範とも言われる。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。