コップも学衆も可能性は無限大ー50[守]

2022/10/24(月)23:13
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 10月24日の正午きっかり、イシス編集学校校長、松岡正剛からのメッセージ「いざ、いまこそのインタースコアを!」が教室に届いた。同時に20人の師範代が、まだまだ緊張が解けない手で最初のお題【001番:コップは何に使える?】を届けた。そこには、まるで自身の緊張をほぐすかのような言葉が添えられていた。

 

 「まずはぐるりと肩を回して~
  それからフーッと息を吐いて~」
 (柑橘カイヨワ教室・得原藍師範代)

 

 「深呼吸をして、リラックスモードで取り組んでみてください。」
 (50gエンシオス教室・田中志歩範代)

 

 師範代の柔らかい言葉に呼応して、1時間も経つと「さっそくですが、編集稽古001番の回答をお送りいたします」「初回答します。よろしくお頼み申し上げます」と回答が届き始める。

 

 指南の先陣をきったのは、柑橘カイヨワ教室の師範代、得原藍だ。回答が届いてから、わずか73分後には指南を届けた。材質を様々に変えてコップの使い道を取り出した学衆Tの回答に、指南する得原の言葉も、終始弾みっぱなしだ。

 

 「材質についてたっぷり遊んでいただきました☆」

 

 「スタートは目の前にあった紙コップ。
  目に入るものから材質を変化させていった先に、
  さまざまな機能や用途が浮かび上がってきたのですね。」

 

 「最初の勇気ある一番星回答、ありがとうございました☆」

 

 指南はここで終わらない。得原は、指南の一番最後に置くシグにそっとメッセージを忍ばせた。「材質以外で遊ぶとしたら・・・? 」。お題001番の醍醐味は、いつものコップの見方から離れ、ひとつの情報として見ることで、たくさんの使い道を見つけられること。得原は、材質から離れれば、更に多くの使い道が見つかる可能性を示唆したのだ。どんな情報にも、たくさんの見方の可能性が潜んでいる。多様な見方を自在に引き出すことができれば、編集の可能性が格段に増す。

 

 始まったばかりの50[守]。師範代は、どんな瞬間にも方法の可能性を伝えることを惜しまない。次は、どんなコップが届き、どんな指南が届けられるのか。師範代と学衆の編集稽古の旅路が始まった。

 

  • 阿曽祐子

    編集的先達:小熊英二。ふわふわと漂うようなつかみどころのなさと骨太の行動力と冒険心。相矛盾する異星人ぽさは5つの小中に通った少女時代に培われた。今も比叡山と空を眺めながら街を歩き回っているらしい。 「阿曽祐子の編集力チェック」受付中 https://qe.isis.ne.jp/index/aso

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。