コマス師範代の編集力と不足 44[守]汁講の風景

2020/01/05(日)19:05
img DUSTedit

 神戸から駆けつけた女性と目を合わさない。対話もしない。

 19年12月15日、兄弟教室との合同ランチ汁講時の小桝裕己(44[守]トポス清冽教室師範代)は、中華料理を無心に食べる。

 

  前日の伝習座で小桝の指南を讃えた井ノ上裕二(44[守]番匠)は、ハリセンがあったら使いたくなる。井ノ上のヤキモキを知ってか知らずか、コマスは隣の兄弟教室の学衆と、SF談義を始める。 

 -ペリーローダンシリーズは600巻も続いている。

 -複数の作者によって書かれている。

 -コレクティブ・ブレインの編集が拡張性を生む。

 

  興味深い会話だが、自教室の学衆さんと会話をしろ。

 見かねた井ノ上は、コマスをISIS婚ネタでいじりつつ、学衆の山田江里奈さんを会話へと誘う。  

 

 場をほぐそうとする井ノ上の努力を知ってか知らずか、コマスは唐突に写真集を紙袋から取り出し、問いかける。

 「この仔犬の写真の題名を考えましょう」。

 前日に赴いた東京での写真展(『山沢栄子 私の現代』)で購入した代物だ。

 

  コマスは編集対象が間に入ると語りが冴える。リアルのフリートークにはめっぽう弱い。自分の数寄に忠実な生身のコマスは、落ちつきがない。

  • 井ノ上シーザー

    編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。