この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

とっくの昔にメタヴァースを超えていた。2000年に開講したイシス編集学校は、現代のネット社会に出現した「別世」なのである。校長松岡正剛と親交が深い、江戸文化研究者の田中優子氏は「現代社会の限界に挑戦している」と、イシスの学習スタイルの革新性を訴える。
2022年秋、イシス編集学校は50期[守]を迎える。これを記念して、特別レクチャーが導入されることに決まった。元法政大学学長であり、自身も学長時代に[守][破][離]のコースを修了した田中氏によるオンライン講義である。
江戸文化の専門家は、編集工学の型をどう読み解くのか。この時代に、編集術を学ぶことの意義とはなにか。そして、「学ぶ」とはどういうことか。全3時間以上を予定するレクチャーは、今秋の基本コース[守]受講者だけが参加できる特別プログラムである。
10月24日の開講に先駆けて、4日夕刻、作戦会議が行われた。学林局佐々木千佳と吉村堅樹、そして[守]学匠鈴木康代が田中氏を質問攻めにしていた。「突出した才能を引き出すにはどうすれば」「教える者と学ぶ者はどのようにして関係をつくっていったらいいか」「どうやったらリモートコミュニケーションで無駄話が取り戻せるか」
田中氏はイシスの特異性を、江戸の寺子屋と重ねて読み解いた。
「現代の教育現場には、教室には教師と生徒しかいません。でも寺子屋には、少し年上のチューター的な存在がいるのがあたりまえでした。」 イシス編集学校では、学ぶ者と教える者がはっきりと二分されない。師範代として指導にあたるのは、かつて生徒だった者。学ぶことと教えることを切り離さないからこそ、相互の活発な学びが生まれる。江戸時代にはあたりまえだったこの方法は、いまの社会ではすっかり失われた。田中氏は校長松岡との対談本『日本問答』(岩波新書)にて「イシス編集学校は今後の教育モデルになるだろう」と期待を寄せる。イシス編集学校には、「学校」とも「私塾」とも「オンラインサロン」ともまったく異なる、世の教育現場が憧れてならない相互教育の場が広がっている。
田中優子氏による編集レクチャーは、この秋開講の50期[守]基本コースの受講者に限定で公開される。新施策についてはPRTimesでも確認できる。
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イシス編集学校
基本コース [守] 申し込み受付中
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梅澤奈央
編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。