49[守] 感門表授与のアンソロジー【79感門】

2022/09/19(月)14:56
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 イシスの卒門式で一番の寿ぎを受けるのは師範代である。編集道を共にした師範から、ほぼ半年の歩みを凝縮した言葉と感門表が贈られる。感門表の向こうには49[守]に集った全学衆もいる。師範代が38題の番稽古を全うできたのは、学衆の回答があってこそなのだから。
 卒門式で交わされた言葉を掬い、かさねての寿ぎを49[守]に。

●唐傘さしていく教室 大塚信子師範代
最初はおぼつかなかった傘回し。けれどおのぶ師範代は絶対傘を離さなかった。唐傘衆みんながくるくる傘を回し、月暈唐留多が実を結んだ。

 


●八段プラモデル教室 小松原一樹師範代
校長の代としてヒリヒリする焦燥感をかかえてのスタート。学衆さんの回答に育てられたと語るダンディ小松原は、いつまでも組み立て途上。

 


●忖度しないわ教室 相部礼子師範代
互いの方法に注目するようになった学衆が誇らしいと、学衆の卒門ソングを背負って壇上に。「忖度しないわ わたしたち」のまま、これからも。

 


●男装いとをかし教室 野住智惠子師範代
師範代初登板の45[守]で見えた不足を編集しようと決めた再登板。学衆といっしょに不足を編集する毎日、合言葉は「装って参りましょう!」

 


●配線うなる教室 森重実師範代
空回りしてもいいから編集を起していこう。そう決めた時から教室が動き出した。49[守]が閉じても「配うなセブンイレブン」の灯は消えない。

 


●キジトラ疾走教室 安田晶子師範代
ころんでもその場の温度を下げない師範代に似て、学衆どうしのエールも冷めない。キジトラを連れて走ったことで、見える景色が広がった。

 


●切実ゲノム教室 滝沢章師範代
人のために自分の力を使ってみたいと目指した師範代。指南は切実で誠実であたたかだった。「自信を持ちなさい!」師範の声が決然と響いた。

 


●渇望ネオモード教室 辻井貴之師範代
「言葉は私一人のものじゃない。今のこの言葉も過去から関わってきた人たちと一緒にしゃべっている」。かけがえのない言葉を届け続けた。

 


●ライ8反攻教室 総山健太師範代
いつもかならずそこに居て、休まず指南を届ける教室の支柱だった。8月の反攻する稽古の勢いに、教室名を実感した。格別な時間だった。

 


●感応おにぎり教室 宮坂由香師範代
コーヒーを淹れる直前の沸騰したお湯のように、ぎゅっと結んだおにぎりのように、周りをホットにし続けた。その熱源は教室の学衆。

 


●にじゆら発色教室 古谷奈々師範代
028番「レシピを真似る」。切実な出来事を「最高の記念日」に置き換えた回答にハッとした。ものごとの見方がにじみゆらいだ瞬間だった。

 


●脱皮ザリガニ教室 古澤正三師範代
思えば小さい頃から正解があると思って生きてきた。けれども今は違う。今の私が未来の皆さんになるかもしれない。正解主義からの脱皮をぜひ。

 


●アニマ臨風教室 寺田悠人師範代
子ども達が誰からともなく“遊ぼう”と言い、夕方になると“さよなら”の代わりに歌をうたって別れる。なくしてしまいがちなそんな景色が教室だ。

 


●三叉毘沙門教室 船山一樹師範代
「編集を心底信じている。編集は、最後にはどんなことも魅力的に終わらせることができる」。想いは二人の学衆に託される。

 


●かく書く然り教室 三津田恵子師範代
共読とは、他者の窓枠を借りて、その中から見える世界の様子をうかがうようなものだ。冴えるスピーチに校長より「成長したな」の一言。

 


●ニシダ鳥肌教室 西村宜久師範代
感門前夜、教室に肖り、1086夜『西田幾多郎論学論集』を読んだ。「物質はコップである」から「コップは物質である」へという言葉に心震えた。

 

●ピッピ乱反射教室 三浦純子師範代
“長靴下のピッピ”に肖り、万歳四唱で会場が乱反射。「ピッピ乱反射教室の“磨き”最高でした!いつでも編集日和で!」

 


●赤いランドセル教室 齋藤彬人師範代
未来に向かっていかないと“編集”ではない。「赤ラン十徳教室」というありえないターゲットに向かってあらたに体現していきたい。

 


●きざし旬然教室 福井千裕師範代
この船にはいつも誰かの切なさに寄り添ってくれる声があった。胸にいつでも帆を張って対角線を目指していってほしい。いつでも、旬風満帆!

 

(文:若林牧子、石井梨香 写真:林朝恵)

 

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  • 石井梨香

    編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。