37[花]プレワーク  編集棟梁は 千夜を多読し ノミを振る[10の千夜]

2022/04/23(土)12:37
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37[花]プレワークは「千夜多読仕立て」が出題された。花伝師範達のお薦めをベースに深谷もと佳花目付がセレクトし、今期を捉えた10の千夜が、入伝生の旅支度だ。

 


37[花] 千夜多読仕立て 師範エディション10夜


 

『枕草子』清少納言(419夜)[面影日本]

『守破離の思想』藤原稜三(1252夜)

『弓と禅』(1791夜)

『棟梁』小川三夫(1561夜)

『状況に埋め込まれた学習』(1746夜)

『かくれた次元』(213夜)[編集力]

『ミーム・マシンとしての私』(647夜)[情報生命]

『世界制作の方法』ネルソン・グッドマン(1793夜)

『エクリ』アルベルト・ジャコメッティ(0500夜)[全然アート]

10『異界を旅する能』(1176夜)[芸と道]
 web版:『ワキから見る能世界』(1176夜)


 

 このワークは、数日で10夜の千夜千冊を通読する。求められるのは、多読と高速要約。編集コーチ(師範代)の基礎鍛錬として、入伝生30名の共読が動いている。開講してたった数日の間に連打されるワークだが、出題されるや否や仮留め回答が踊り始めた。ある入伝生は先頭切って要約を投げ、これ位でいいやと満足することなく「ここから先へ突入する」と勢いづく。さらに思考の癖と向き合う者や、遊びモードを試す者など、花伝所はプレワークから沸騰中だ。

 最初のお題でこれまでの稽古を振り返り、続くこのワークでは今期の花伝所のテーマやヴィジョンまでも提示されている。”後ろを見て前を見る”ひねりが生む回転力が、花伝所に向かう弾みをつけてゆく。

 この厳選10夜は、入伝生に「あいだ」を仄めかし、「問い」を生む。「日本という方法」を能や武道から読み解く千夜から、情報文化の方法や仕組みの千夜へと、背中を押したり、橋渡しをしたり、方法の継承が今期もうごく。入伝生は、能のワキを擬いて学衆を異界に誘うか、大工を擬いて「編集棟梁」のノミを振るか、はたまたジャコメッティのように知覚と表現のあいだに分け入るか。10の千夜を薪にして37[花]の「終わりなき編集」が狼煙をあげている。

 

文 内海太陽(錬成師範)
アイキャッチデザイン 阿久津健(錬成師範)

 

  • イシス編集学校 [花伝]チーム

    編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。