この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

48[破]が始まった。
2022年4月2日(土)第一回伝習座。今期[破]で新たに師範として登板する戸田由香が、48[破]師範代陣に向けて、文体編集術の骨法をレクチャーした。
戸田といえば、エディストの【三冊筋プレス】でもお馴染み。エッジの効いた創文に松岡も注目する手練れの書き手だ。
【三冊筋プレス】植物を読む(戸田由香)
【三冊筋プレス】世界の見方がかわる時(戸田由香)
【三冊筋プレス】ハノイの束縛 サイゴンの自由(戸田由香)
一冊の本から何をどう編み上げればこんな記事が書けるのか。舞台裏や奥の手も明かしながら、文体編集術の稽古と実践を語って、[守]38題で得てきた方法を[破]に接続する応用編集の方法を説いた。
また、もうひとり、今期[破]で新たに師範として立つのが華岡晃生だ。47[破]師範代ロール完走直後の熱と勢いのまま指導陣に衣替え。別様可能性を体現しつつ、このあと師範代・師範・評匠が組んず解れつの「セイゴオ知文術10冊共読」コーナーで、松岡正剛『フラジャイル』の読み解きを披露する。
亭主こそリスクを負え。未知への遊びに学衆を誘うべし。監視資本主義が跋扈する世の中のがんじがらめを突破すべく、48[破]が走り出した。第一回伝習座は、このあと夜の守破合同校長講義まで分刻みに展開していく。
48[破]開講は、2022年4月18日(月)。
方法は、それを求める人をいつでも待っている。
イシス編集学校
第48期[破] 指導陣
2022年4月18日(月)~2022年8月7日(日) 16週間
■師範代
阿部幸織 ●シード群生教室
岩橋賢 ●MOT勿体教室
大濱朋子 ●点閃クォート教室
小椋加奈子●特Bダッシュ教室
佐藤裕子 ●幕末スサビーズ教室
渋江徹 ●それが編調教室
山本ユキ ●オリーブ・ビリーブ教室
輪島良子 ●伝束スパーク教室
■校長 松岡正剛
■学匠 原田淳子
■番匠 野嶋真帆、福田容子
■評匠 中村まさとし、北原ひでお
■師範 竹川智子、戸田由香、華岡晃生、渡辺高志
■月匠 木村久美子
■律師 八田英子
第48期[破]基本コースの詳細・申込はこちら
(撮影:野嶋真帆)
福田容子
編集的先達:森村泰昌。速度、質、量の三拍子が揃うのみならず、コンテンツへの方法的評価、厄介ごと引き受ける器量、お題をつくり場を動かす相互編集力をあわせもつ。編集学校に現れたラディカルなISIS的才能。松岡校長は「あと7人の福田容子が欲しい」と語る。
書籍『インタースコア』の入稿間際、松岡校長は巻頭書き下ろしの冒頭二段落を書き足した。ほぼ最終稿だった。そろそろ校了か、と思ってファイルを開いて目を疑った。読み始めて、文字通り震えた。このタイミングで、ここにこれを足すのか […]
▼辰年と聞くと義兄の顔が浮かぶ。辰すなわち龍は十二支唯一の空想動物なわけだが、これがウズベキスタンでは鯨になるのだと、そのウズベク人の義兄から聞いて驚いたことがあるためだ。前の辰年より少し前のことだったと思う。なぜそんな […]
京都は神社が少なく教会が多い?◢◤[遊姿綴箋] リレーコラム:福田容子
▼京都はぞんがい教会が多い。人口10万人あたりの教会数は、全国47都道府県中じつに5位。寺院が意外にも13位どまり、神社に至ってはまさかの32位(つまり下から16位)だから、相対的に見て全国平均より神社が少なく、教会は多 […]
律師、八田英子の不意打ちには要注意だ。 半年ぶりにISISロールに復帰し、48[破]で初番匠に挑もうという2022年春。水ぬるむ3月にそのメッセージはやってきた。 「ふくよさん、お帰りなさーい」 八田 […]
どうしてそうなった?! やっぱり師範代はいじられたい──47[破]突破式進行中
突破式中盤、その男の登場に、会場がざわついた。 頭には平和の象徴、青の帽子。アイヌの羽織に、アフリカの民族衣装。オオカミの牙をぶらさげ、登壇時には外していたマスクにもアイヌのカリム紋様が。 「その装いは一体?」 「学 […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。