〈突破者が書く!第2弾〉Remixで「破」教室がハイパーへ【78感門】(紀平尚子)

2022/03/28(月)16:00
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 「本楼をせっけん(席捲)」。東京梅ヶ丘の梅も見頃を過ぎ、桜の蕾が花開く3月の肌寒い祝日。47[破]万事セッケン教室で稽古してきた我々バンジーズは、晴れて「突破ンジーズ」となった。おめかしコンビから突破証を頂くため、オンラインで豪徳寺と繋いだ。
 まずは現れたのは白ウサギ化した新井陽大師範。感門之盟では司会というロールに着替え、純白のスーツに黒のネクタイ、真っ赤なポケットチーフが胸元からチラリ。まるでテレビの中のMCをみているようだ。続いて登壇した我らが堀田幸義師範代は、頭から足先まで柄々の民族衣装。突破後、学衆たちに「師範代のファッション編集」という名のお題を出し、遊びに遊んだ私たち。師範代がトコトンそれに応えて愉しむ姿で大団円を迎えた。

 

 さて稽古仲間と再会するブレイクアウトタイム。松岡校長の先達文庫贈呈に肖って、師範から師範代に手渡されたのは、一冊の本『居るのはつらいよ』。つらい?険しい山が連なる「破」のお稽古で、崖から引きずり落ち、スタート地点に後戻り、先頭を走る仲間が遠く見えなくなりそうな時も、たのくるしいを合言葉に助け合ってきた万事セッケン教室。さて、師範から贈られた本にはどんな意味がこめられていたのでしょうか。
 ホッコリとした絆で結ばれた師範・師範代という師弟の一事は、教室の万事を回想させる時間であった。

 

▲突破ンジーズの面々。

上の列:大塚剛史さん、紀平尚子さん、水谷知世さん
下の列:畠山義秀さん、山田環さん、堀田師範代・新井師範(左から)

 

文・写真:紀平尚子(47[破]万事セッケン教室) 

編集:師範代 堀田幸義、師範 新井陽大(47[破]万事セッケン教室) 


▼番記者梅澤コメント

 万事セッケン教室で真っ先に記事を完成させ、特別企画を一気に加速させたのがスピードスター紀平さんでした。「教室の時より真面目にお稽古」とつぶやきながら、セッケンを全身にぬりぬりした白兎のように推敲ロードを滑走。言葉溢れる師範代・師範から指南を立て続けに4回受け、タイトルも3つから選ぶ充実の稽古でした。

 描いてくださったのは、学衆から見た師範代・師範の晴れ姿。そして、仲間との再開。感門之盟ではそれぞれの教室でのドラマが起きますよね。これまでエディスト編集部や各講座指導陣はなかなか描けずにおりましたが、紀平さんは、学衆記者となることで風穴を開けてくださいました。新井師範から堀田師範代へ『居るのはつらいよ』(東畑開人、医学書院)という本が贈呈されたことは、バンジーズしか知らないニュース。それを、白ウサギと民族衣装のディテールをつぶさに描きながら、見事にスクープしてくださいました。

 記者としてのネタ選びの腕も見事なら、それを載せるための地ならしも丁寧になされていました。感門当日は、肌寒く桜の蕾がほころびはじめたころ。このような状況づけを添えることで、リコール(想起)されやすい記事になりました。

 勧学会では「相互編集とはこういうことなのでしょうか。熱気ムンムン。万事アワアワ」と、踊るように全力でインタースコアを実践してくださった紀平さん。記事エントリーとともに添えられた「私は[花]へ旅立ちます」とのラストメッセージは、堀田師範代への何よりもの贈り物です。

  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。