この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

昨日、3月27日、年初からスタートした<多読ジム>season09・冬が終了しました。今季も多くの読衆たちがゴングギリギリまで三冊筋のファイナルファイトに大奮闘。三冊のブックセレクトには、定番のノヴァーリス『青い花』からヴィトゲンシュタインの青色本まで、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』やハルキ&龍のダブル村上も加わって、”三書青様”、”十人青色”な「青の三冊」が出揃いました。その蔵出しエディストは後日、お楽しみに。
さて、4月11日からseason10・春がスタートします。ブッククエスト、エディション読み、三冊筋のライナップは以前に予告記事(【予告!】もしもブッククエストがRPGだったら 多読ジム season10・春)でお伝えした通りですが、あらためてご案内すると、ブッククエストは山本貴光編『世界を読み解く科学本 科学者25人の100冊』、エディション読みは『心とトラウマ』、三冊筋プレスは「男と女の3冊」。さらに三冊筋には「”版元コラボ”エディストチャレンジ」として、『それチン』というボーナスステージも用意されています。気になる方はリンクから飛んでみてください。
山本貴光編『世界を読み解く科学本 科学者25人の100冊』(河出文庫)
今回、season10・春の読衆に向けて、なんとなんとブッククエストの『世界を読み解く科学本 科学者25人の100冊』の編者である山本貴光さんご本人から、特別にレコメンドメッセージが届きました。
森羅万象のうち、もっぱら物質とその変化に注意を向ける自然科学は、どこから入ってもどこかへつながる森のよう。『世界を読み解く科学本』を通じて、あちこちに潜むつながりを見つける楽しみを味わってもらえたら幸いです。ーーー山本貴光
山本貴光さんは編集工学研究所が主催する次世代リーダー育成塾Hyper-Editing Platform[AIDA]のボードメンバーであり、直近ではISIS FESTA SP「『情報の歴史21』を読む」の第一弾のゲストとしても登壇しました。
ISIS FESTA SP『情報の歴史21』を読む 「山本貴光篇」(2022年2月23日)
多読ジムに申し込む予定の人も申し込む予定のない人も『世界を読み解く科学本 科学者25人の100冊』はぜひとも一度お手にとってみてください。本書は「自然科学に興味はあるけど、何を読んだらいいのかわからない」とか「文系一筋で自然科学には自信がないな」という方にもとてもオススメの入門書です。下記に目次をシェアします。「目次読み」してあれこれ連想を楽しんでください
多読ジムseason10・春の申込締切は4月4日まで。
山本貴光 編『世界を読み解く科学本 科学者25人の100冊』
【目次】
はじめに 本を通じたサイエンスの楽しみ
CHAPTER Ⅰ 宇宙を探り、世界を知る
1 この世界の究極な姿は何か? 多田将
2 人はなぜ宇宙を探るのか? 福井康雄
3 光より速く進むことは可能か? 赤木昭夫
4 人類はどこまで宇宙を理解したか? 大内正己
5 地球の変動は人類をどう変えたのか? 鎌田浩毅
6 ハチは飛んできたか? 大河内直彦
7 進化とは何か? 長沼毅
特別寄稿 ポピュラーサイエンス書の素顔 青木薫
送り手に聞く① 子どもの絵本に接近 山形昌也
科学本の読みかた① 巨人の肩によじのぼろう
CHAPTER Ⅱ 生命のふしぎ、心の謎
8 心はどこにあるのだろうか? 山口創
9 動物はどんなふうに働いているのか? 本川達雄
10 生物は、細胞は、果たしてどう進化してきたのか? 武村政春
11 生物の分類や進化は科学的に研究できるのか? 三中信宏
12 昆虫は人間の写し鏡か? 小松貴
13 四千年も歴史がある膨大な「医学」を学ぶには、
いったいどこから手を付けたらいいのだろう? 森皆ねじ子
14 動物に心があるか? 岡ノ谷一夫
15 『毒物事典』で分かることとは何か? 南伸坊
送り手に聞く② 科学館で立ち止まる 籔本晶子
送り手に聞く③ 科学新書をながめる 小澤久
科学本の読みかた② 森羅万象に〝仲間〞を見つけよう
対談 宇宙と海の深い話 矢野創×高井研
CHAPTER Ⅲ 未来を映す
16 私たちが〈身体性〉を備えるとはどういうことなのか? 岡田美智男
17 科学的な思考とは何か? 吉成真由美
18 未来の医療はどうなるだろうか? 鈴木晃仁
19 卵はどうして「私」になるのか? 榎木英介
20 ビッグデータは社会をどう変えるのか? 矢野和男
21 五感で科学をとらえるには? 山田暢司
22 小説を書くには? 藤井太洋
23 ロボットは感情を持てるのか? 西垣通
送り手に聞く④ 理工書書店員の作庭記 小引聡
案内人の名著
おわりに さらなるサイエンス/ブックのほうへ
Info
◉多読ジム season10・春◉
∈START
2022年4月11日~6月26日
※申込締切日は2022年4月4日(月)
∈MENU
<1>ブッククエスト(BQ):山本貴光編『世界を読み解く科学本 科学者25人の100冊』
<2>エディション読み :『心とトラウマ』
<3>三冊筋プレス :男と女の3冊
∈URL
https://es.isis.ne.jp/gym
∈DESIGN the eye-catching image
穂積晴明
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:宮崎滔天
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
photo: yukari goto
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。