オリーブの一日14指南――卒門後の48[守]

2022/02/22(火)13:49
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 卒門後も、山本ユキは止まらない。

 14日(6)、15日(6)、16日(9)、17日(14)、18日(12)、19日(12)。

 この数字、何だかおわかりだろうか? 実は、48[守]の卒門日13日以降の山本ユキ師範代の指南の回数である。


 実は山本のオリーブなじむ教室では、ちょっとした奇跡が起きていた。卒門まであと4日という段階で、学衆Kが014番を回答。そこから26のお題の回答を連打し、卒門まで駆け抜けたのだ。

 山本はその間、「回答拝受」や「即見指南」を乱打。教室や勧学会から絶え間なく声を掛け続けながら、卒門まで伴走&伴奏に徹した。同教室の卒門者は8人中7人だったが、その裏には、学衆だけでなく師範代の奮闘もあったのだ。

 

 祭りのあとに残ったものは何か。
 感動だけではない。「未指南の回答の群れ」が山本の前に、うずたかく積まれたのである。その数50超。

 

 山本は仕事も多忙だ。しかも東京と高知を行き来する生活を送っている。ただでさえ自由になる時間が少ない。
 どうしたか。スキマ時間をひたすら指南に当てた。そして回答と一体になることに努めた。
 山本は一座限りのこの「場」を楽しんだ。

 

 どうなったか。
 山本は19日に、勧学会で本音を漏らした。

今週は、ホントの指南漬け。
めいいっぱい楽しんでいます。


いまさらながら、
こんなに指南がオモシロいとは思わなかった(笑)

 

 学衆は、38番を解き終えるとカワル。
 だがいちばん変わったのは、師範代だ。

 なじむとカワル。オリーブなじむ教室の師範代はようやくなじんだのだ。師範代というロールに、教室に、指南に、あらゆるものに。
 
 山本は指南の向こうに、学衆が破に進む姿を見ていた。破でさらに自分を破って欲しいと願った。なぜか。この先に「カワル」道が続いていることを、山本自身が今、実感しているからである。

  • 角山祥道

    編集的先達:藤井聡太。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系(うずうず)にする異端児。角山が指南する「俺の編集力チェック(無料)」受付中。https://qe.isis.ne.jp/index/kakuyama

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。