この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

ハイパーミュージアムといえば、東の角川武蔵野、西の近大ビブリオシアター。破学衆が本日22時の刻限目指し、プランニング稽古の猛追を尻目に、編工研スタッフは西に飛んだ。ハイパーミュージアムにふさわしい、ハイパーなプロモーション映像を作るためだ。
ディレクターコモリの野望を受け、ヨシムラ・ハシモトが汲み、地元スタッフとして加勢にあたるヨシハラ・フルヤ・ウメザワが、荷車を引きながら無人貸し切りのDONDENを駆け回る。
「キーブック、5冊あるはず」「いや、借りられてるわ」「ゴルゴ分厚いな」「吉村さん、『AKIRA』もない」「宇宙兄弟、どこ?」「これでMトピアは終わり?」「ドミトリーともきんす、あるはずやで」「逢沢りく、さっき見たんやけどどこいった」「あ、土田世紀の『俺節』はいいんだよ。この人は…」「これ読んだことある?」
撮影用にかき集めた100冊以上のマンガを、リストと照合しながらヨシムラが確認。本の山をまえにマンガ談義に花が咲く。いまからキトウがスチール撮影を始める。撮影は20時まで続く。
●近畿大学ビブリオシアター独自の本分類、近大INDEXとは?
https://act.kindai.ac.jp/kindai_index/
●「文学をマンガする」といえば、どんな本?
https://act.kindai.ac.jp/kindai_index/donden01/
▲お決まりのように黒尽くめの撮影スタッフ。インテリジェントトピアのまえでの密談。
▲「つぎ、マンガ漂流」「……劇画漂流ね」
読み間違いタイトルでもすぐに正解タイトルを挙げ、該当トピアを即答する熟練書店員のようなヨシムラ
▲棚へ本を取りに行くヨシムラの背中に「ひきだしにテラリウムも!」「あ、『地球へ』も!」と叫び、ヨシムラをこきつかってキーブックを仕分けするハシモト
▲ヨシハラは「マンガのスコア」連載中の「レジェンド50」の棚前にて作業中。公式HPのリストと突き合わせて、抜け漏れをチェック。無人のDONDENに、キーブックが静かに降り積もる。
▲松丸本舗を思わせる棚の文字は、ヨシムラの手書き。マンガの一節の抜書き。「ヨシムラさんにしては珍しく読める字ですね」(ハシモト談)
▲キトウの見つめるカメラの先には。これが数百冊分。
梅澤奈央
編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
イシス編集学校メルマガ「編集ウメ子」配信中。
【多読アレゴリア:MEdit Lab for ISIS】もし順天堂大学現役ドクターが本気で「保健体育」の授業をしたら
編集術を使って、医学ゲームをつくる! 「MEdit Lab for ISIS」は2025夏シリーズも開講します。 そして、7月27日(日)には、順天堂大学にて特別授業を開催。 クラブ員はもちろん、どなたでもご参加いただけ […]
【ARCHIVE】人気連載「イシスの推しメン」をまとめ読み!(27人目まで)
イシス編集学校の魅力は「人」にある。校長・松岡正剛がインターネットの片隅に立ち上げたイシス編集学校は、今年で開校23年目。卒業生はのべ3万人、師範代認定者数は580名を超えた。 遊刊エディストの人気企画「イシスの推しメン […]
イシス最奥の[AIDA]こそ、編集工学の最前線?受講した本城慎之介師範代に聞くSeason5。
イシス編集学校には奥がある。最奥には、世界読書奥義伝[離]。そして、編集学校の指導陣が密かに学びつづける[AIDA]だ。 Hyper Editing Platform[AIDA]とは、編集工学研究所がプロデュースする知と […]
【多読アレゴリア:MEdit Lab for ISIS】編集術を使って、医学ゲームをつくる!?
伝説のワークショップが、多読アレゴリアでも。 2025年 春、多読アレゴリアに新クラブが誕生します。 編集の型を使って、医学ゲームをプランニングする 「MEdit Lab for ISIS」です。 ■MEd […]
【ISIS co-mission INTERVIEW03】宇川直宏さん― 生成AI時代の編集工学2.0とは
イシス編集学校には、松岡正剛の編集的世界観に〈共命(コミッション)〉するアドバイザリーボード[ISIS co-mission]があります。そのISIS co-missionのひとりが、現”在”美術家でDOMMUNE主宰の […]
コメント
1~3件/3件
2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。