この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

[離]総匠の太田香保が、文章編集、本、映画、音楽などについて気ままに綴るコラム「OTASIS」。書き連ねてきたシリーズを遊刊エディストの一隅に咲く寄せ植えのように、ひとまとめにしてお届けします。
必読 編集読本 編集を志す全ての者に捧げる本と編集に関するコラム。
千夜千冊交響曲 OTASIS-14
映画に恋して 本と同じくらい大好きな映画(ときどき美術)について綴ります。
♦本の映画の人間人形化計画 OTASIS-27 2022/02/26(土)
♦予告篇という愛すべき詐欺師たち OTASIS‐25 2021/10/28(木)
天使のエチュード OTASIS-10
エディスト的変奏曲 ピアノ奏者でもある太田香保の音楽紀行。
ピアノを弾くサル OTASIS-18
太田香保
編集的先達:レナード・バーンスタイン。慶応大学司書からいまや松岡正剛のビブリオテカールに。事務所にピアノを持ちこみ、楽譜を通してのインタースコア実践にいとまがない。離学衆全てが直立不動になる絶対的な総匠。
◆ショスタコーヴィチの戦争交響曲 銃が物を言うとミューズ(音楽の女神)は沈黙する。 このロシアの古い諺がお気に入りだったショスタコーヴィチは、そこに「この地ではミューズは銃と […]
■本のような映画・雑誌のような映画 松岡正剛はかつて「映画のように本をつくりたい」を口癖にしていた。ピーター・グリーナウェイがシェイクスピアの『テンペスト』を換骨奪胎した《プロスペローの本》を世に問うた時 […]
◆試験に出る松岡正剛 2021年末の「ほんほん」で松岡が明かしたように、いま『試験によく出る松岡正剛』という書籍の企画構成が着々進んでいる。 松岡の著作をつかった国語の試験問題が、2000 […]
予告篇はあくまで遠くの“夜店”のようにつくってほしいのだ。 松岡正剛 千夜千冊第182夜『三分間の詐欺師』より 映画の予告篇がおもしろい。予告篇を見るのが大好きだ。とくに大手シネコンなどでは、作品上映前に […]
先ごろの感門之盟のなかで、5月以降、編集学校の皆さんのご尽力によってにぎわってきた全国各地の「千夜千冊エディションフェア」の紹介をさせていただきました。そのラストに、じつは今回のフェアでもっともよく売れた本はブラッドベ […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。