この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

千夜千冊エディションフェアの大トリは台湾のジュンク堂書店 台湾明曜店です。1月末まで開催中。なんと巨大オーロラビジョンで千夜千冊エディションフェアCMまで放映中です。仕掛け人である35[花]放伝生・小沢奈津代さんからのレポートでフェアの様子をご覧ください。
◇◇◇
ジュンク堂書店 台湾明曜店は若者が多く集まる、日本の渋谷の様な街、東区の中心地、忠孝敦化駅3番出口を出て、目の前にある明曜百貨の9階にあります。
忠孝敦化駅3番出口
明曜百貨のテナントはほとんどが日系企業。書店と同フロアにはダイソーや、階下にニトリあり、今年の10月に百貨店の三分の一を占めるユニクロが改装完了し、連日日本好きの台湾人で大賑わい。特に30~40代の小さなお子様を連れたファミリー層のお客様をたくさん見かけます。
そんなジュンク堂書店 台湾明曜店はまるで日本のジュンク堂書店にいるかの様な日本書籍の品揃え。レジからは「ありがとうございました」と流暢な日本語が聞こえてくるが、働いているスタッフは店長以外全て台湾人。台湾人スタッフが日本の出版社との発注を日本語で対応することもあるため、出版元の方も驚かれるそうです。
店長の鈴木健司さんも、こんなに日本語対応ができるスタッフが揃った海外の書店はうちぐらいなものじゃないかと誇らしげでした。
書店内の様子
日本のジュンク堂にいるかのような品揃え
日本語で書かれたPOPもあります
台湾での千夜千冊エディションフェアは、日本との連携が凄かった!大阪のMARUZEN&ジュンク堂書店梅田店で使用した字紋パネルを台湾でも使用し、日本語のできるスタッフがエディションの中の一文を中国語に翻訳し中国語版の字紋パネルと日本語版のパネルを作成。
エディションフェアコーナー
台湾用にポスターのキャッチも編集
中国語版のエディションPOPが並ぶ
大阪でも大活躍した字紋パネルも台湾に上陸
そして鈴木店長もブックフェアでここまでやるのは初めてです。と驚いていたのが、林朝恵師範が製作した日本各地でのエディションフェアの様子を編集した30秒の広告動画。こちらが明曜百貨のオーロラビジョンに流れ、日本各地を巡ったエディションフェアが台湾上陸したことを伝えます。
街頭に流れるオーロラビジョン!
街中ではこんな風に広告動画が流れています。
林朝恵師範作成の動画はこちら!
千夜千冊エディションブックフェアに準備期間から常に期待と希望を寄せて伴走してくださった鈴木店長に「オススメのエディションを一冊」とお伺いしたところ「一冊は流石に絞れないです」と台湾人のお客様にお勧めしたい三冊を選んでくださいました。
日本文化好きの台湾人に向けての『サブカルズ』、日本の歴史好きな年配から若者に向けた『面影日本』、日本語を勉強中の台湾人の方々へ送りたい『ことば漬』の三冊だそうです。
鈴木健司店長のオススメ3冊
台湾のブックフェアは11月1日から始まって1月31日までの3ヶ月間。残り1ヶ月、エディションフェアの書籍たちが、どんな風に台湾の読者たちと交流を図っていくのかが楽しみです。
文・写真:小沢奈津代
Back Number
【このエディションフェアがすごい!45】ジュンク堂書店 台湾明曜店
【このエディションフェアがすごい!44】MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店
【このエディションフェアがすごい!43】東京堂書店神田神保町店
【このエディションフェアがすごい!42】ジュンク堂書店 名古屋栄店
【このエディションフェアがすごい!41】MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店(大阪市)②
【このエディションフェアがすごい!40】カモシカ書店(大分市)
【このエディションフェアがすごい!39】ジュンク堂書店岡島甲府店(山梨県甲府市)
【このエディションフェアがすごい!38】MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店
【このエディションフェアがすごい!37】知遊堂上越国府店(新潟県上越市)
【このエディションフェアがすごい!36】MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店(大阪市)
【このエディションフェアがすごい!35】朗月堂書店(山梨県甲府市)
【このエディションフェアがすごい!34】ジュンク堂書店柏モディ店(千葉県柏市)
【このエディションフェアがすごい!番外編】ジュンク堂書店難波店(大阪市)
【このエディションフェアがすごい!32】柳正堂書店 オギノバリオ店、甲府昭和イトーヨーカドー店(山梨県)
【このエディションフェアがすごい!31】田村書店千里中央店(大阪府豊中市)
【このエディションフェアがすごい!30】紀伊國屋書店新宿本店
【このエディションフェアがすごい!29】ジュンク堂書店郡山店
【このエディションフェアがすごい!28】ジュンク堂書店三宮店(神戸市)②
【このエディションフェアがすごい!26】敷島書房(山梨県甲斐市)
【このエディションフェアがすごい!25】ジュンク堂書店大阪本店
【このエディションフェアがすごい!24】ch.books(長野市)
【このエディションフェアがすごい!22】ジュンク堂書店吉祥寺店(武蔵野市)
【このエディションフェアがすごい!19】丸善津田沼店(千葉県習志野市)
【このエディションフェアがすごい!18】ジュンク堂書店三宮店(神戸市)
【このエディションフェアがすごい!17】ジュンク堂書店大分店
【このエディションフェアがすごい!16】ジュンク堂書店難波店(大阪市)
【このエディションフェアがすごい!15】ジュンク堂書店三宮駅前店(神戸市)
【このエディションフェアがすごい!14】長崎次郎書店(熊本市)
【このエディションフェアがすごい!13】スワロー亭(長野県小布施町)
【このエディションフェアがすごい!10】ジュンク堂書店名古屋店
【このエディションフェアがすごい!09】ジュンク堂書店鹿児島店
【このエディションフェアがすごい!07】ブックセンタークエスト小倉本店
【このエディションフェアがすごい!05】りーぶる金海堂クロスモール店(宮崎市)
【このエディションフェアがすごい!03】ジュンク堂書店池袋本店
【このエディションフェアがすごい!02】ジュンク堂書店福岡店
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
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2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。