早く深く広い世界へ――48[守]速修コース、〆切り迫る

2021/11/08(月)13:00
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「私ほど疑似恋愛が得意な人間はいません!」と佐藤裕子が声を張り上げれば、西村慧は宇宙飛行士グッズを掲げながら「宇宙飛行士になりたかったんや!」と負けじと返す。石黒好美は「教室に必要なのはボケとツッコミです」と謎の言葉を残すと、翌日、教室運営のヒントにすべく大須演芸場に足を運んだ。


 この3人に共通するのは他でもない、14[離]を退院したばかりの猛者であるということと、11月22日に開講する48[守]の速修コース担当師範代であるということだ。4日の夜、来たる開講に向けて、学匠、番匠、担当師範らとともに「速修コース決起集会」が開かれたのだが、件の発言はその時に飛び出した。

 

 佐藤師範代(しんがりスサビ教室)は、44[守]に続き2度目の登板だ。見た目はクールで育ちも雪国だが、心の内の熱いマグマは10m超の雪壁をも瞬時に溶かす。惚れれば一途。中1の時にはビートたけしにゾッコンまいって、たけし軍団に入るべく家出したという経歴を持つ。回答の隅から隅まで愛す指南が炸裂するはずだ。
 
 同じく2度目の登板の西村師範代(臨間オチョコ教室)は、生粋の関西人だ。学衆のどんなひと言でも面白がれるという特技を持つ。「身長が低かったから宇宙飛行士を諦めた」はもはやネタだ。西村の手に掛かれば、学衆も気づかなかった魅力が、回答から星の数ほど引き出されるに違いない。

 

 12期ぶりの登板となる石黒師範代(平時有事教室)は、自分の強みを「動じないこと」と断言する。教室にどんな事件が起こっても動じない。たとえ巨人が攻めてきても石黒なら平気だ。事件がなければないで、自らボケ、自らツッコミ、教室に風を起こしていく。有事の緊張感と、平時のホンワカさを高速で行き来するような教室になるのではないか。

 

 1カ月前に開講している定常コースとは異なり、速修コースは、わずか12週間で[守]を駆け抜ける。出題はほぼ毎日。師範代と学衆の高速ラリーが毎夜、続けられる。
 だが速さだけではない。鈴木康代学匠は決起集会をこう引き取った。
「速さだけではダメ。同時に深さと広さを出す。早く、深く、広く、そして時には回り道。これが48[守]の速修コースです」

 速修コースを担当する佐藤、西村、石黒の3人の師範代は、すでに加速を始めている。ユニークネスを極めた猛者との、早く、深く、広い[守]の番稽古を望むなら、迷わず飛び込みたい

 

▲11月4日夜に行われた48[守]速修コース決起集会。「決起」というもこの笑顔を見よ!

  • 角山祥道

    編集的先達:藤井聡太。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系(うずうず)にする異端児。角山が指南する「俺の編集力チェック(無料)」受付中。https://qe.isis.ne.jp/index/kakuyama

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。