【AIDA Season2 第1講 速報!】七巨頭、豪徳寺に会しておおいに問題提起する

2021/10/18(月)21:43
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 2021年10月16日、Hyper-Editing Platform[AIDA]Season2が始まった。2020年のSeason1「生命と文明のAIDA」に続き、Season2では「メディアと市場のAIDA」をテーマに、半年間で全6回の講義を行って編集的世界像を問いつづける。その間、座衆たちはネット上の「連」でAIDA師範代の指南を受けながら、メディアと市場のAIDAについて探求し、最後に「間論」という形でこれからの社会像を仮設する。

 

 

 第一講は松岡正剛座長を囲み、Season2の7名のボードメンバーが豪徳寺に勢揃いした。Season1から続投するのは4名だ。

 

田中優子さん●2014年から2021年まで法政大学の総長を務め、現在はイシス編集学校・物語講座14綴を受講中でもある江戸学の第一人者。最新著は『遊廓と日本人』(講談社現代新書)

 

大澤真幸さん『〈世界史〉の哲学』(講談社)シリーズをはじめ、鋭い思考で社会の新しい見方を提供しつづけている。イシス編集学校では、多読ジムSPコース「大澤真幸を読む」でも尽力いただいている。

 

山本貴光さん●ゲーム作家として活躍するかたわら、『記憶のデザイン』(筑摩選書)『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)など、情報編集や知の見方に関わる著書を何冊も出している。

 

佐倉統さん●「サイエンスZERO」コメンテーターを務める進化学と科学史の専門家で、『科学とはなにか』(ブルーバックス)では、社会における科学技術の意味をあらためて問い直している。

 

 

さらにSeason2では、強力な3名に新たなボードメンバーに加わっていただいた。

 

村井純さん●インターネット黎明期から技術基盤構築などに関わり、この国のデジタルのかたちを考えつづける「日本のインターネットの父」。最新著は『DX時代に考える シン・インターネット』(共著・インターナショナル新書)

 

武邑光裕さん●やはりインターネット黎明期からデジタル社会を見つめるメディア美学者。近著『プライバシー・パラドックス』(黒鳥社)ではデータ監視社会とプライバシー問題に警鐘を鳴らす。ベルリンとヨーロッパの事情にも詳しい。

 

佐藤優さん●神学、インテリジェンス、政治権力、創価学会、民主主義、左翼、ファシズム、沖縄などを縦横無尽に論じ、『国家の罠』『自壊する帝国』(ともに新潮文庫)を皮切りに数えきれないほどの著書・共著書を出しつづけている。

 

 AIDA Season2 第一講では、松岡座長と「七巨頭」が、メディアと市場のAIDAについておおいに問題提起した。この日の冒頭、編集工学研究所の安藤が、スラヴォイ・ジジェク『事件!』(河出ブックス)を紹介し、「事件!」とは「世界を知覚し、世界に関わるときの枠組みそのものが変わること」だと説明したが、そもそもこの八人が一堂に会して話しあったこと自体が「事件!」であり、きっとこれから座衆の知覚の枠組み、世界に関わるときの枠組みを変えていくだろう。

 

AIDAセッションで提起された「問題」の一部を紹介する。

 

 

 

★★★

日本のゲーム業界は想像力を軽視してきた結果、中国に抜かれつつある(山本)

 

★★★

精神的な問題を抱える人々がWeb空間でイキイキと活躍できるのだから、バーチャルが現実を変えてもよいのでは(田中)

 

★★★

メタバース社会が来れば、終末論的なユダヤ・キリスト教の人たちが権力をたやすく握ることになるだろう。それでよいのか(佐藤)

 

★★★

みんなAIを意思決定に使いたがるが、危険ではないか(佐倉)

 

★★★

意思決定は最大でも国家レベルだが、インターネットは世界中がつながっている。そこに意思決定上の問題がある。(大澤)

 

★★★

ンターネットは世界史上はじめて誕生した「グローバルスペース」であり、我々は誰もまだグローバルな意思決定の訓練を十分に積んでいない(村井)

 

★★★

メディアこそがメッセージだ。メディアの強大な影響力を市場のなかで考える必要がある(武邑)

 

★★★

既存の器で語りえないものを扱う「イメージメント」の方法がまだ存在しないことが問題だ(松岡)


 国家権力も絡んで、メディアと市場のAIDAにある多様な問題が出揃った。第二講以降はゲストを迎えながら、松岡座長、ボードメンバー、座衆、AIDA師範代が交りあってさらにAIDAを探求していく。

  • 米川青馬

    編集的先達:フランツ・カフカ。ふだんはライター。号は云亭(うんてい)。趣味は観劇。最近は劇場だけでなく 区民農園にも通う。好物は納豆とスイーツ。道産子なので雪の日に傘はささない。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。