ISIS 20周年師範代リレー [第35期 福田恵美 圧倒的オラリティが織りなすネットワーク]

2021/10/07(木)09:00
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2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、2020年6月に20周年を迎えた。第45期の師範代までを、1期ずつ数珠つなぎにしながら、20年のクロニクルを紹介する。

 

◇◇◇

歌うことも、食べることも、喋ることも大好き。35守カタカタ対想教室師範代・福田恵美のアーキタイプは「口から生まれた少女」かもしれない。うねる連想力で、語り出したら止まらない。昨年末には、百戦錬磨の取材者の腱鞘炎を疼かせた筋金入りのイシツ人だ。

 

学生時代以来合唱団に籍を置き、編集学校では感門団に籍を置く。人に囲まれ、人を繋ぐネットワーカー。長らく食品業界で店舗設計や商品開発に携わっているが、鞄にはイシスのパンフレットを忍ばせ、この人ぞという相手にはすぐさま勧めているという。実際、物語講座で活躍中の裏谷惠子は、福田の紹介で入門した。

 

31守で師範代を経験していたが、学衆数の増加に伴い、急遽35守でも登板が決定。東北のまつろわぬ民であった蝦夷に思いを馳せ、教室では自分の名前に引っかけて「えみし」を名乗った。当時の学衆でいの一番に「えみし師範代」と呼び掛けたのは、現在守や花伝所で師範を歴任しているらくだ白川であった。指南のタイプとしては、回答から連想の世界を広げていくようなメッセージを届けることが多かった。学衆と世界の拡張を一緒に楽しむスタイルだ。

 

2019年からは信州飯綱に移住。そしてもちろん、移住先でもイシス・ネットワークの構築には余念なく、当地の書店でNEXT ISISブックフェアを成功させた。もともと長野県には書籍への愛好の強い風土がある。今後の福田の活動で、信州が「編集王国」になる日も近いだろう。

◎師範代メッセージ◎


 

>あのときメッセージ>

ISの台頭、激化する難民問題など、世界の亀裂を一方では遠くに深くに感じながら、稽古に無心に没頭。それぞれの速度と深度でヘンシューの面白さに気付いていく日々でした。「最後まで諦めないミーム」が、守破カタカタ対想教室それぞれで手渡されていきました。

 

>これからメッセージ>

大転換期には「それまでの常識や前提を徹底して疑え。「方法」が強力助っ人に。

 

カタカタ対想教室 福田恵美

 


 

●あの日!あの時!千夜千冊!●

〇ISISからISを方法で臨む

1578夜 ロレッタ・ナポリオーニ『イスラム国』

…2015年4月10日

◎哲人の演奏からこぼれ出すアリュール

1579夜 フランソワ・ヌーデルマン『ピアノを弾く哲学者』
…2015年4月17日

⦿書棚は記憶であり、認知なのである

1589夜 佐野衛『書店の棚 本の気配』
…2015年08月28日

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  • 川野貴志

    編集的先達:多和田葉子。語って名人。綴って達人。場に交わって別格の職人。軽妙かつ絶妙な編集術で、全講座、プロジェクトから引っ張りだこの「イシスの至宝」。野望は「国語で編集」から「編集で国語」への大転換。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。