この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

46[破]DAN ZEN ISIS P-1 Grand Prix、『遊刊エディスト』誌上で予選を開催中。第77回感門之盟での本選出場をかけて、各教室から短期決戦の応援合戦だ。
さあ、あなたも心惹かれるプランに投票を!
──プラン10:王冠切れ字教室/ニッポン吟醸蔵──
「お金」の時代を総括せよ!
バブル資本主義から「吟醸の蔵」へ
■なぜ今、バブル経済を総括するのか?
本ミュージアムは、岐阜県大垣市の老舗酒造会社の男性社長を想定クライアントとする。彼は架空の人物だ。だが、きっと日本中に「もう一人の彼」がいる。
バブル期を生きて今を模索する“われわれ世代”の怒りと絶望を、彼は代弁している。みんな必死に走ってきたのだ。「失われた30年」などという紋切り批判で目を背けるな。あの腐敗を直視せよ。そして腐葉土に芽生えた小さな希望を取り上げよう。
ディスコの狂騒、高級ホテルでのクリスマスデート、株価高騰に沸く東証、「24時間戦えますか」。全天空型ドームシアターが再現する熱狂。酒蔵の中に登場するバブルの館。
BGMにはアン・ルイスや山下達郎。NTT株上場フィーバー、豊田商事事件に、金融・証券不祥事、破綻の始まり……針路はどこで歪んだのか?
しかし、そんな中でも、酒造りの深みが醸す大垣の地域文化は、自噴水や木枡づくりの技と共に、愚直に受け継がれてきた。
吟醸酒や純米酒などの特定名称酒制度が個性豊かな地酒に日の目を当てて30年。「失われた」だけではない30年の営みがある。
「お金」の時代はもう終わる。資本主義の船からの「降り方」を皆が知りたがっている。この地方都市の一角で発酵をつづけてきた清冽な「吟醸の精神」をお見せする。
等価交換の先にある新しい価値観を社会化していくのは、きっと「次の世代」だ。彼らに思索と行動の拠点を。このミュージアムを、“われわれ世代”から“彼ら”への贈り物としたい。
企画案:46[破]王冠切れ字教室学衆 山下雅弘
画像作成:同 学衆 今野あすか
記事原案:同 師範代 大塚宏
編集:同 師範 福田容子
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読者投票あり!!46[破]「DAN ZEN ISIS P-1 Grand Prix」プランニング編集術アワード予選を開催
投票締め切り:2021年8月25日(水)24時
→ プラン10:王冠切れ字教室/ニッポン吟醸蔵
福田容子
編集的先達:森村泰昌。速度、質、量の三拍子が揃うのみならず、コンテンツへの方法的評価、厄介ごと引き受ける器量、お題をつくり場を動かす相互編集力をあわせもつ。編集学校に現れたラディカルなISIS的才能。松岡校長は「あと7人の福田容子が欲しい」と語る。
書籍『インタースコア』の入稿間際、松岡校長は巻頭書き下ろしの冒頭二段落を書き足した。ほぼ最終稿だった。そろそろ校了か、と思ってファイルを開いて目を疑った。読み始めて、文字通り震えた。このタイミングで、ここにこれを足すのか […]
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▼京都はぞんがい教会が多い。人口10万人あたりの教会数は、全国47都道府県中じつに5位。寺院が意外にも13位どまり、神社に至ってはまさかの32位(つまり下から16位)だから、相対的に見て全国平均より神社が少なく、教会は多 […]
48[破]が始まった。 2022年4月2日(土)第一回伝習座。今期[破]で新たに師範として登板する戸田由香が、48[破]師範代陣に向けて、文体編集術の骨法をレクチャーした。 戸田といえば、エディストの […]
律師、八田英子の不意打ちには要注意だ。 半年ぶりにISISロールに復帰し、48[破]で初番匠に挑もうという2022年春。水ぬるむ3月にそのメッセージはやってきた。 「ふくよさん、お帰りなさーい」 八田 […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。