ISIS 20周年師範代リレー[第26期 川野貴志 至宝が照らすイシスの10年]

2021/08/08(日)09:00
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2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、2020年6月に20周年を迎えた。第45期の師範代までを、1期ずつ数珠つなぎにしながら、20年のクロニクルを紹介する。

◇◇◇

「イシスの至宝」。川野のことをそう名づけたのは守学匠の冨澤陽一郎である。師範代を務めあげた後、守破師範、番匠を休みなく歴任し、ISIS FESTAではゲストと堂々渡り合い、現在は近畿大学やAIDA、子ども編集学校といったプロジェクトを引き受ける川野のことを「至宝」と呼ぶことに異論を挟むものはいないだろう。なんせ妻にも「この至宝〜(笑)」といじられているらしい。世界知、方法知、実践知を兼ね備え、器量、胆力、評価眼をもち、書いてよし語ってよし。何よりロールを引き受けると、周囲の期待以上をもって応えるのが川野の真骨頂なのである。

 

6離を小坂とのツートップで典離した後に、意気揚々と14期花伝所に入伝。その時点ですでに師範が舌を巻くくらい指南が書けており、アブダクティブなアプローチにまで踏みこんでいた。当時の指導陣が出来すぎていて驚嘆したという逸話が残っている。万端に師範代スタンバイした川野であったが、311による学衆激減で守の教室を減らさざるを得なくなった。その時、自ら身を引いて一期待機することを名乗り出た。侠気もあれば、茶目っ気もある男。何から何まで出来すぎなのだ。

 

川野の弱点はないのか?あえて言えば、それは家族かもしれない。川野は子煩悩なのだ。家からZoomで打ち合わせをするときには、寝た子を起こさないようにモニターを消して、発言をするとき以外はミュートをしてこっそり参加をする。それでも発言するときには、いつも寸鉄のコメントで存在感を発揮することを忘れない。やはり川野は川野だった。

川野がイシスに関わって10年。10周年から20周年までをトップランナーとして引っ張り続けてきた。これからの10年も、また至宝がイシスの道を照らしてくれるはずである。

◎師範代メッセージ◎


 

>あのときメッセージ>

大震災で25守の開催規模が縮小した影響で、半年待機して26守での登板となりました。しかしまだ余波があり、開講日は6名の学衆でスタート。開講後の入門者を掻き入れ掻きいれ、数週間で11名まで増えました。合流者のフォローで、独特のリズムが生まれました。

 

>これからメッセージ>

震災以来の有事で迎える20周年。ステイホームの泥中の花から、希望を届けてください。コロナで私の勤める学校の与件もぐっちゃぐっちゃになってしまいましたが、目的の拡張からやり直せるいいチャンスだと思って頑張ります。今こそ編集ですね。

 

草莽捲局教室 川野貴志

 


 

●あの日!あの時!千夜千冊!●

リスボン、スマトラ、3.11を哲学する

1439夜:ジャン-ピエール・デュピュイ『ツナミの小形而上学』

…2011年11月04日

 

◉中華文明の発端を知るキーブック

1451夜:岡村秀典『夏王朝』

…2012年01月17日

◎セイゴオほどのをとこもやはり揺れるのか

1462夜:御中虫『関揺れる』

…2012年04月09日

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  • 吉村堅樹

    僧侶で神父。塾講師でスナックホスト。ガードマンで映画助監督。介護ヘルパーでゲームデバッガー。節操ない転職の果て辿り着いた編集学校。揺らぐことないイシス愛が買われて、2012年から林頭に。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。