ISIS 20周年師範代リレー[第23期白木賢太郎 10周年に誕生したレジェンド教室]

2021/07/24(土)09:04
img CASTedit

2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、2020年6月に20周年を迎えた。第45期の師範代までを、1期ずつ数珠つなぎにしながら、20年のクロニクルを紹介する。

◇◇◇

平城遷都1300年目の2010年、「日本と東アジアの未来を考える委員会」幹事長松岡正剛のもと、編集学校の師範代たちも編集に参加した記念出版本『NARASIA 東アジア共同体?いまナラ本』(丸善)が刊行される。(参照:1395夜『イスラム経済論』)

時同じくして、ISIS編集学校は10歳の誕生日を迎えた。10周年を祝う感門之盟では「edit cross 乱世の編集」とテーマを掲げ、盛大な式典となった。前年に開店した松丸本舗はメディアでも注目を浴び、松岡校長出演のTBS「情熱大陸」が放送されたのもこの時である。

 

祝宴の季節の中で、後々も語り継がれることとなるレジェンド教室が誕生した。筑波大学タンパク質研究者であり、ラーメン好きで知られる白木賢太郎師範代率いる「ラーメン代謝教室」だ。

 

軽やかな語り口から差し出される明哲な指南でイキイキとした編集稽古の場を創出。学衆を惹きつけてやまないカリスマ師範代の裏側を覗けば、先達指南を徹底的にカラダに入れ込み貪欲に学ぶという知への礼節がある。先達指南研究のために出力した用紙が山ほど書斎に積んであると両手を広げて語っていた。

 

編集学校で学んだ学習モデルや編集工学は、大学教育に持ち込み学生指導にも応用していると本人は言う。一方、白木師範代が築いた師範代という方法は、今もなお新人師範代の憧れであり、道標として南を指し続けている。

◎師範代メッセージ◎


 

>あのときメッセージ>

当時は何より松丸本舗がありました。ブックショップエディタがいて、初対面の人と目次読書をし、エプロンつけた松岡校長が棚に落書きをしておりました。背表紙の並びがそのまま共読空間でした。世界を読み解く読書の面白さにすっかり目覚めた時期でした。

 

>これからメッセージ>

こんな時期でも学生とオンラインで毎日共読しています。この方法と価値を、これからも伝え続けてください。

 

ラーメン代謝教室 白木賢太郎

 


 

●あの日!あの時!千夜千冊!●

〇資本主義問題で23守は開講日を迎えた

1358夜:マンフレッド・スティーガー『グローバリゼーション』

…2010年04月19日

◎何が文明をおかしくさせたのか

1361夜:ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』

…2010年05月06日

⦿『モモ』とは貨幣経済社会問題のお話

1377夜:ミヒャエル・エンデ『モモ』

…2010年08月13日

Designed by 穂積晴明

 

 

  • 後藤由加里

    編集的先達:石内都
    NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。