ISIS 20周年師範代リレー[第29期 石原卓也 穏やかさに潜む一種合成の魅力]

2021/08/23(月)09:00
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2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、2020年6月に20周年を迎えた。第45期の師範代までを、1期ずつ数珠つなぎにしながら、20年のクロニクルを紹介する。

 

◇◇◇

2012年10月、ノーベル生理学・医学賞を京都大学山中伸弥教授が受賞。体のあらゆる細胞になる能力を持つ人工多能性幹細胞(iPS細胞)が生命の進化を予感させ、時の話題となった頃、29[守]は開講した。

 

石原師範代は、当時なかでも冨澤陽一郎学匠に育てたいと思わせた“冨澤イチオシ師範代”のひとりだった。大学職員という職業イメージにぴったりな、実直で手堅いところをしっかり押さえていく指南がさえた。しかし、石原師範代はそれだけにはとどまらなかった。感門之盟でのファッションやスピーチに気を配り、師範代であることを自覚するなかで、穏やかさの奥に潜む“かっこよさ”を発揮する方向に、開花していったことが印象深い。

 

さらに[離]にすすむことで、その成長ぶりが一層際立った。無口で温厚なイメージを逸脱したその進化に、学林局メンバーは驚きを覚えたものだ。教室名に使われた「バーテン」と「六法」の一種合成のように、軟派と硬派をあわせもつイメージへと、石原師範代自身が近づいているのだろう。現在も、新聞に掲載される書評を製作するプロジェクトに、メンバーとして参加。16期花伝所で自らの師範だった浅羽登志也師範によるプロジェクト・リードのもと、日々かかんに編集に関わり続けている。

◎師範代メッセージ◎


 

>あのときメッセージ>

2012年10月、iPS細胞の研究で山中教授のノーベル賞受賞が発表された。iPS細胞が様々な細胞に分化するように、同時期に始まった29守8教室も、クラシカルな教室からモードな教室まで、学衆さんと師範代「らしさ」を体現する教室に分化した期でした。

 

>これからメッセージ>

新しい生活様式の先を目指すのが編集と思います。方法を触媒に次代の意味の営みを!

 

バーテン六法教室 石原卓也

 


 

●あの日!あの時!千夜千冊!●

〇29[守] 開講日に公開された千夜はこれ!

1487夜 本川達雄『生物学的文明論』

…2012年10月15日

◎風土・言葉・発声・楽器・コミュニケーションをめぐる「日本」「日本人」の秘密が潜む

1492夜 中村明一 『倍音 音・ことば・身体の文化誌』

…2012年12月08日

⦿キャサリン・ハキムの大胆な論陣、松岡正剛校長は大賛成
1490夜 キャサリン・ハキム 『エロティック・キャピタル』
2012年11月22日

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  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。