ISIS 20周年師範代リレー[第18期 福嶋秀樹 黒革の手帖にしたためた編集的方法]

2021/05/27(木)16:23
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2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、2020年6月に20周年を迎えた。第45期の師範代までを、1期ずつ数珠つなぎにしながら、20年のクロニクルを紹介する。

◇◇◇

 

福嶋師範代が師範代をつとめた時期の大きな編集学校のエピソードのひとつといえば、『物語編集術』の出版である。18[守]の終了およそ2週間後に、ダイヤモンド社から松岡正剛監修のもと師範陣が企画・執筆した初の書籍が誕生している。

福嶋師範代は、離を終えてすぐに師範代として登板。その生き生きとした指南姿が印象深い。自身の師範代だった現・冊匠こと大音MIYAKO師範代の教室名から“外道”のミームを引き継いだ。福嶋師範代といえば、「黒革の手帖」である。八段錦、64技法などの編集術を仕事や部下の指導に活かすために、手帖にしたため、肌身離さず持っていたとか。そのかいあってか、大手電機メーカーの製作所長に就任、また新規市場戦略担当役員になり、当時、丸の内に新しく立ち上がった丸の内朝大学でイシス編集学校もクラスを持ってのだが、福嶋師範代は、“新規事業立ち上げのための編集術”というタイトルで、登壇した。

ロジックに強く、編集語りが色鮮やかな福嶋師範代は、師範ロールを引き受けて以降、さらに編集的開花をとげる。[破]の師範時には、端正な用語解説指南を披露する一方、学衆から躍動感ある編集魂を引き出しながら師自分もどんどんといきいきと若返っていくような師範ぶりだった。

さらに、今でこそ家族でイシス編集学校に入門している方も多くなったが、福嶋師範代はその先駆けだった。お母様が入門し、親子で編集を学び、[序]が始まったときにも親子受講。3世代を通じて、イシスが繰り出す新しい学びの局面に活発に参加した。現在は、師範IS&IS講の常連として、進化し続けるイシス編集学校を見守っている。

 

◎師範代メッセージ◎


 

>あのときメッセージ>

2007年10月、18守開講。屈指のコーチングチーム(校長校話)と評された師範陣のもと、新任14名を含む15名の師範代が指南に挑む。当時、テレビではヒトiPS細胞の生成が話題に。型に習い始まった教室も、各々特色のある交換の場へと多様に分化していった。

 

>これからメッセージ>

コロナ禍で、自閉化/ネット化/単一化が進む現在。今こそ編集的方法に取り組みたい。

 

パリティ外道教室 福嶋 秀樹

 


 

●あの日!あの時!千夜千冊!●

〇“日本文明の最も芳しいところが、喪失してしまったのだ”、開講当日に公開された千夜

1203夜:渡辺京二『逝きし世の面影』

2007年10月15日

◎松岡正剛校長の当時を垣間見ることができる一夜

1210夜:『日本学者フレデレック・V・ディキンズ』 秋山勇造

... 2007年12月17日

⦿”いまこそ蘇るべき自由人”

1218夜:加藤百合『大正の夢の設計家 西村伊作と文化学院』

... 2008年01月23日

Designed by 穂積晴明

 

 

  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。

  • ISIS co-mission (イシス編集学校アドバイザリー・ボード)

    イシス・コミッション DO-SAY 2025年6月

    イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]

  • 田中優子の酒上夕書斎|第一夕『普賢』石川淳(2025年5月27日)

    学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら語ります。 &n […]

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    芽吹きの春から滴りの夏へ。いよいよ熱を帯びてきた多読アレゴリアの旬をお届けします。松岡正剛より「支度天」の名を受けたダンドリ仕掛け人・武田英裕キャスターと共に、守師範の一倉広美がアシスタントをつとめる『多読アレゴリアTV […]

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  • 水無月

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。