この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

松井家に激震が走った。2014年4月12日(金)、長男コウタが入学式からまだ2日しか経っていないのに登校拒否をした。翌13日(土)、イシス編集学校・学林局の吉村林頭よりコウタの母親宛に電話が入る。「一週間後に始まる33[守]の師範代を引き受けてください」。
松岡正剛校長が名づけた教室は「晴れたらエクリ教室」。もう一つの学校、もう一つの教室がコウタを別世界へと誘う。そこでは彼の母親がセンセーであり、日本各地の8名の大人たちが生徒である。リアルとネットをまたぐインタラクティブなやりとりは家庭にも爽快な風を吹きこみ、創(きず)を負った子どもは編集稽古の「門前の小僧」として蘇った。
あっと驚くコンティンジェンシーを目の当たりにした松井師範代は、居ても立ってもいられない。佐々木千佳局長に「子ども編集学校を実現させたい」と熱烈メッセージを送った。
たちまち、「よみかき&おやこ」準備ラウンジがオープン。スタートメンバーは佐々木局長、川野貴志、吉野陽子、そして松井路代。かねて局長が大切に温め、長く胎動していたプロジェクトは無事に生まれ落ち、育ち始めた。
松井 路代
編集的先達:中島敦。2007年生の長男と独自のホームエデュケーション。オペラ好きの夫、小学生の娘と奈良在住の主婦。離では典離、物語講座では冠綴賞というイシスの二冠王。野望は子ども編集学校と小説家デビュー。
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校長に本を贈る 松岡正剛校長に本を贈ったことがある。言い出したのは当時小学校4年生だった長男である。 学校に行けないためにありあまる時間を、遊ぶこと、中でも植物を育てることと、ゲッチョ先生こと盛口満さんの本を読む […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。