時代をかたどる[花]師範選書クロニクル【75感門】

2021/03/14(日)17:37
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師範選書。

 

花伝所で二期以上担当した師範へ贈られる一冊。

松岡校長田中晶子花伝所長による選書だ。

 

師範の姿や花伝所での振る舞いだけでなく、その時代の「かたち」も切り取る。

 

ここでは、これまでの選書をいくつかピックアップしつつ紹介していく。

 

◆17[花] 2012.09.16 兵藤裕巳『琵琶法師』(岩波新書)

 約4年半の時を経て千夜千冊1633夜で取り上げられた。

 松岡校長は3.11の後、『奥の細道』を追いかけるうちにこの本に出会ったという。

 

◆21[花] 2014.08.30 大澤真幸『不確実性の時代』(岩波新書)

 ハイパー・エディティング・プラットフォームのボードメンバーの一人。

 この年、クリミア併合、イスラム国樹立宣言、マウントゴックス事件などが起きた。

 

◆24[花] 2016.02.27 ジャレド・ダイアモンド『第三のチンパンジー』(草思社)

 『銃・病原菌・鉄』とともにイシスの必読本の一冊。

 この年を象徴する映画でいうなら「『シン・ゴジラ』・『この世界の片隅に』・『君の名は。』」だろうか。

 

◆33[花] 2020.09.21 ティム・インゴルド『人類学とは何か』

 師範選書として唯一二度取り上げられた著者。

 ちなみにもう一冊とは『ラインズ 線の文化史』。

 

◆34[花] 2021.03.14 今福龍太『宮澤賢治 デクノボーの叡智』

 

今期の選書は、文化人類学者で詩、音楽、クレオールに造詣の深い今福龍太が、「宮沢賢治」という詩人とその奥にある「デクノボー」をひもとく一冊だった。

  • 上杉公志

    編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。