師範の挑戦から始まった 44[守]伝習座

2019/10/04(金)10:46
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 「大いなる挑戦の期にしましょう」。2019年9月28日、学匠・鈴木康代の宣言で44[守]伝習座が始まった。新たに教室を担う師範代18人に師範たちが次々と方法を手渡した。

 

 用法1の解説を担当した新師範・清水優年は、武田砂鉄の『紋切型社会』を引用し、「モンキリ型には編集がない。目指すはヘンシュー型師範代」とエールを送った。

 

 用法2の解説は、白黒ツートンの二点分岐型ジャケットで登壇した桂大介師範。パウル・クレーの「夕べの分離」を編集思考素と結び付け、「三角形と遊ぼう」「思考素こそアナロジカルで発見的に」と従来の用法解説にない清新な視点から語った。

 

 続くワークショップの担当は石井梨香と山根尚子。当初は師範代レポートをテーマに据えていたが、前夜のリハーサルで方針をひっくり返す。清水・桂両師範の用法解説を聞き、卒意で仕立てた問いを師範代に投げかけた。まさにライブな編集稽古だ。

 

 恒例の「フライヤー発表」では池澤祐子と白川雅敏が師範代のプレゼンをその場で即興指南。師範陣は前日の深夜にかけて、さらに本番直前までリハーサルを重ね、再編集を繰り返して本番に臨んだ。44[守]の「挑戦」は、師範の「挑戦」からのスタートだった。

 

伝習座後の記念撮影。左下が白と黒の桂師範だ

  • 景山和浩

    編集的先達:井上ひさし。日刊スポーツ記者。用意と卒意、機をみた絶妙の助言、安定した活動は師範の師範として手本になっている。その柔和な性格から決して怒らない師範とも言われる。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。