ISIS 20周年師範代リレー[第10期 保坂恭史 編集的自由に向かうビジネスマン師範代]

2021/01/18(月)10:48
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保坂恭史

2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、6月に20周年を迎えた。第45期の師範代までを、1期ずつ数珠つなぎにしながら、20年のクロニクルを紹介する。

◇◇◇

 

郵政民営化基本方針が閣議決定され、第2次小泉改造内閣が発足されたころ、第10期[守]はスタートしました。折しも、その年の7月7日には、松岡正剛校長による千夜千冊第1000夜が更新された直後に開講を迎えたのがこの期でした。師範代メッセージにもある通り、師範代の勉強会、いまでいう伝習座が行われているまっただなかに、新潟県中越地震が発生したことも、特筆すべき記憶となりました。

「自由編集状態」を目指す4ヶ月カリキュラムに改編された [守]コースが軌道に乗り、それまで“教務”と呼ばれていた講座運営ディレクターを、はじめて“学匠”と呼ぶようになった期でもありました。冨澤学匠の誕生です。その10期に師範代登板した保坂師範代は、ビジネスのかたわら指南にいそしみました。学匠を兄貴のように慕い、叱られては立ち直る。青調ひびき教室は、のちに著名になっていく方々が学衆として学び合い、ひびきあったことも、教室の特徴となりました。[守]システムの躍動期にあって、その連想ゆたかで柔らかい指南を、松岡校長は校長校話の中で「清々しい」と評しました。

 

◎師範代メッセージ◎


 

>あのときメッセージ>

教室が増え、黎明期の次の次の世代が師範代になり「軽み」が出たころか(?)。この時期、イチローの最多安打やスマトラ島沖地震があったが、編集学校との記憶とシンクロするのは、10月23日夕方、師範代研修中に東京が激しく突き上げられた新潟県中越地震。

 

>これからメッセージ>

コロナみたいなことが起きる。だから自分で引き受けて考える(編集)術が増々必要ですね。 久々に「知の編集術」を読み始めて「方法が世界の内実そのものだ」、この言葉にぶち当たりました。このために編集学校で学び、今でも無意識のうちに方法に魅かれ続けているのを再認識しました。

 

青調ひびき教室 保坂恭史


 

●あの日!あの時!千夜千冊!●

エレガントな宇宙

⦿10期が開講時に公開された1001夜。1000を超え、新しい始まりの1夜は5回シリーズだった。

1001夜

ブライアン・グリーン『エレガントな宇宙』

2004年07月22日~12月26日

Designed by 穂積晴明

 

 

  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。