この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

[離]史上初。第4週のあるお題に対して、松岡火元校長が離学衆一人一人にオンラインで直接講評するという。これは千離衆であれば「そんな贅沢なことを!」と指を咥えて羨ましがる大事件である。門外不出の[離]カリキュラムの一部のため、ここに多くは書けないが当日の本楼風景を10shotでお届けする。
1月9日午後、まもなく開始
昼食時間を惜しみ、開始時間ギリギリまで丁寧に一人一人の回答を読み込む。そして書き込む。
この日初めて離学衆は火元組とオンラインで顔を合わせることになる。スタッフも[離]モード。画面に緊張感が滲む。本楼の集中はいよいよ高まる。いつもよりピリッと開始前のZoomガイドをする衣笠純子。
編集はリモートだ
定刻が過ぎカメラが本楼を映し出す。「火元校長のリモートインタースコア編集を楽しみにして欲しい」口火を切るのは太田香保総匠。
「あけましておめでとう」
一都三県を対象に緊急事態宣言が行われたのは二日前のこと。「このような状況だからこそ14[離]が何かを完徹していくことが大事だろうと思っている」この稀なチャンスを活かして欲しいと背中を押し、離学衆と火元校長とのセッションへ。
矢は方々から飛んでくる
本楼では離学衆が画面に映し出され、離学衆は自室で火元校長と対面する。お題の回答と少しの対話を通して瞬時に評価をし、ここから更に飛躍するためのターゲットXを手渡していく。アドバイスは別当師範代、別番、右筆からも差し出される。(上から2枚目は曳瞬院 寺田充宏別番)
離中には方々から無数の矢が飛んでくる。躊躇っていると矢は横を擦過していくだけである。掴みかけたら深く弓を引き、遠くに目掛けて貫こうとすること。逡巡や遠慮をしている時間はない。
読書とは麗しいディスタンス
「幼な心との行き来の中に編集の秘密がある。このことをやっている者たちが世界読書奥義伝の著者たちである。もう一度世界読書を読み直して他者を入れていく必要がある。これがリモートであり、遠くの者と会話ができる方法。5週目以降に期待して欲しい。そして思い切ってやって欲しい」
離学衆に火を灯す史上初のオンライン講評会は予定時間を大幅に超過し終了した。14[離]はここから[離]の破へと向かっていく。今日から第5週目に突入する。
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。