松岡正剛が今明かすエディスト 『全著作〈森繁久彌コレクション〉』

2019/09/30(月)11:27 img
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 空海にカリマコス、パウル・クレーに与謝野晶子、ヴィヴィアン・ウエストウッドに平尾誠二。

 

 9月7日の感門之盟で松岡正剛校長が挙げたエディストたちの一部だ。だが、当日明かされなかった編集的先達が他にもいたことを知る人は少ないだろう。伏せられたその人こそ「森繁久彌」なのである。

 

 松岡校長が解説を担当した『全著作〈森繁久彌コレクション〉』(藤原書店)が10月25日(金)に刊行される。自伝やエッセイなどの作品群が全5巻に再編集され、他にも鹿島茂氏、片山杜秀氏らが解説にあたった。発刊を記念しシンポジウムを行う。10月18日(金)午後5時開場、有楽町朝日ホールにて。歌手の加藤登紀子氏や俳優の宝田明氏らが登壇予定だ。

 

 アナウンサーや俳優、歌手や声優などのポリロールを貫き、千夜千冊590夜『品格と色気と哀愁と』(朝日新聞社)では、松岡校長をして「昭和史とは森繁久弥の歴史だったのである」と言わしめた。今回の書籍刊行とシンポジウムにて、「モリシゲ節」に秘められた知や方法がまた一つ明らかになる。

  • 上杉公志

    編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。