目的のためには手段を選ばず 46[守]伝習座の井ノ上シーザー

2020/10/10(土)09:24
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「『知的でスタイリッシュなシーザー』を、一回やってみたかったんですよねー」。

 

軽く、ダサく、うさん臭い井ノ上シーザー(46[守]師範)の発言に、律師の八田英子が失笑を浮かべた。
5日後に46[守]伝習座をむかえる2020年9月28日(月)の、Zoom越しの学林局からのディレクションの最中だった。
伝習座で、師範代向けの「用法2語り」という大役を任命された井ノ上は、「知的でスタイリッシュ」な人になりたくなった。そのために編み出した方法は、桂大介(44[守]師範・14[離]火元組)をまねる事であった。

 

 

左は44[守]桂師範のレジメ表紙 右は46[守]井ノ上シーザーのレジメ表紙

井ノ上はプライドも躊躇もなく、桂のカッコいいレジメを模作した。

 

 

「桂の発表をもどいて、うまくまとめたね」。
ディレクションに居合わせた松岡校長のコメントに、「いえ、わたしのオリジナリティを入れています」と井ノ上は述べ、松岡校長から「失礼しました」という言葉を引き出した。
覚悟を決めた井ノ上は、めんどくさい。
この日、井ノ上は「知的でスタイリッシュになりたい」という言葉を三回ほど口にし、最後に松岡校長から「お前はスタイリッシュではある」という言葉を得た。

 

井ノ上の“擬き”は、止まらない。
2020年10月3日、伝習座当日の井ノ上は、アウターは黒のシャツとパンツ、インナーは赤いTシャツというファッションに身を包んだ。それは、「編集学校20周年感門之盟」(2020年9月21日)時の太田香保[離]総匠の服装をパクったものであった。井ノ上シーザーにとって、本当に「知的でスタイリッシュ」といえば、太田香保[離]総匠である。

 

左は太田香保[離]総匠。右は服装の色調を似せた井ノ上。

 

同日の太田香保総匠について、エディストライターの小倉加奈子は以下の通り述べている。
「それにしても、ZOOM画面に映し出された香保さんは妖艶だった。千夜千冊全集のテーマカラーである、インナーの赤とジャケットの黒のコントラストがひときわ艶やかで、『ひみつ』を握る妖しさが溢れる」。
そんな「離学衆全てが直立不動になる絶対的な総匠」を、シーザーがもどいたとは、だれも気づかない。

 

なお、伝習座当日の井ノ上は、アナロジーについての解説時に「本家本元の松岡校長の目の前で申し上げるのは恐縮ですが…」と述べてしまい、「余計なことを言うな」と校長から叱られ、汗だくになった。
「スタイリッシュ」を目指すと豪胆だが、「知的」には小心者の井ノ上シーザーであった。

 

伝習座最後の校長講話前の、ホントにカッコいい松岡校長。

  • 井ノ上シーザー

    編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。