【イシス祭@京都】「こないだ」は100年前?!気の長ーーい京都人の謎

2020/08/16(日)16:20
img JUSTedit

京都人の「ひさしぶり」は、ケタが違う。

 

「ひさしぶりに床下あけたら、防空壕が出てきましてん」
「祇園祭の曳山の鷹山さんな、しばらく“休み山”やったけど、196年ぶりに巡行に戻ってきはるえ」
「山名家と細川家がこないだ和睦したはったんやて。え、何ってほれ、応仁の乱で争うてはったやろ」

 

千年の都は、時間の流れもはんなりたおやか。みやこびとにとっては、先週も百年前もおなじく「こないだ」なのかもしれない。

 

 

◆気は長く、新しもん好き

かといって、伝統に縛られないのがたくましい京都人だ。彼らは、アグレッシブな「新しもん好き」でもある。パン&コーヒーの消費量が日本一。ラーメンは天下一品こってり派。祇園祭の山鉾をきらびやかに飾るのは、シルクロードからやってきた舶来のペルシャ絨毯。

 

新しもん好きで、気が長い。こんな気質の地では、2020年の祇園祭でも画期的な挑戦があった。疫病退散を祈願して、真言宗・寺院神泉苑と八坂神社とが協力し、神仏習合の御霊会を実現したのだ。実に明治の神仏分離令以来初めてのこと。

 

独自の新陳代謝で成り立っている京都。その根底にあるものは何なのか。
京都を知れば、日本もわかる。

 

 

◆京の茶室で稽古体験

8/23(日)午前、京都よりエディットツアーを開催する。

ナビゲーターは、京都在住25年の福田容子。編集学校では、[守][破]師範や[離]別番などを歴任する。その言葉は妖刀のごとき斬れ味で、あまたの袈裟斬り伝説がひそやかに語り継がれている。


本業は、まちづくりのプロ。
この夏、世界遺産・二条城からのライブ配信を実現させ、禁断の非公開エリアからも中継を行うなど、「史上初」の冠をほしいままにする凄腕プランナーでもある。

 

そんな福田、今回のオンラインツアーのロケ地選定にも余念がない。彼女が手配したのは、京都東山を借景とする日本庭園。比叡山を望む茶室を貸し切り、晩夏の京の風を感じてもらう仕立てだ。

 

1000年の歴史に肖る、90分の京都旅情。
うちもきばりますさかい、よろしゅうおたの申します。

 

 

【EX京都】

 はんなり編集しはっておおきに祭 /福田容子、阿曽祐子、梅澤奈央
・日時:8月23日(日)10:30 〜 12:00
・参加費: 1,100円(税込)
・申し込み:https://shop.eel.co.jp/products/detail/239

今回のエディットツアーでは、京都の「気の長さ」を体感しつつ、時間の見え方が変わる編集稽古体験を行う。

100年、200年を柔軟に飛び越えられるのは、なぜなのか? 

新奇なものを取り入れても「京都らしさ」が揺らがない秘訣とは? 

ローカリティーを超えた京都の「方法」に迫る。


新しい歴史観や祇園祭のトリビア、さらにはいけずな京都人対策も身につくまたとない機会。お隣さんに「お嬢ちゃん、ピアノ上手にならはったなあ」と言われたら、なんと答える?
正解がわからないあなた、ぜひともツアーへおこしやす。

 

 

 

(「奇内花伝組」額撮影:木藤良沢)

  • 梅澤奈央

    編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
    イシス編集学校メルマガ「編集ウメ子」配信中。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。