【三冊筋プレス & 三冊屋レコメンド】多読ジム × 遊刊エディスト コラボ企画 Season02

2020/08/18(火)10:45
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 いま、<多読ジム>は夏まっさかりのseason03。現在進行中のお題「エディション読み」は、『千夜千冊エディション』(角川ソフィア)の1冊を100人ほどの全読衆で共読する。その今シーズンの課題本が真夏の8月にピッタリの『理科の教室』なのである。

 

 読衆たちは、かつて少年少女の瞳にうつった理科の教室の風景や生きものたちの不思議な手触り、ロウソクやマッチの火を消した後に漂うあの独特の匂いなどなどそれぞれ懐かしい記憶をたぐり寄せながら、したたる汗に目もくれず、なつやすみ気分にひたっている。むろん夏バテ組もいるけれど、幼なごころを取り戻そうとするその気さえ起こせば、いつだって”毎日が夏休み”だ。

 

 <多読ジム>のカリキュラムは、1か月目に「ブッククエスト」、2か月目は「エディション読み」、3か月目には「三冊筋プレス」が待っている。「三冊筋プレス」はまず、選本テーマにそって3冊のバーベル本を選ぶ。そして4週間かけて、それらの本の内容を要約したり、3冊のセイゴオ知文術を書いていく。

 

 「season01・冬」の選本テーマは「数寄をつなげて広げて」、前季の「season02・春」は「チャレンジする」。この「チャレンジする」では、未知のジャンル、苦手な著者、過去に読もうとして挫折した「つまづき本」をはじめ、興味や好奇心にもとづいて、新たな読書にまさに挑戦した。season01同様、season02の三冊筋エッセイも「遊刊エディスト」で十作ほどピックアップして紹介する。

 

 さらにseason02バージョンは三冊筋エッセイだけでなく、3冊セットで本の推薦文を書く「三冊屋レコメンド」もいくつかとりあげる。三冊屋のテーマは「コロナ時代のエディット・ライフ」。三冊屋も三冊筋も全カバーデザインは穂積晴明。タイトルのラインナップは以下のとおり、どうぞお楽しみに。


【三冊屋レコメンド】
時間を手放すための3冊(田中優子)
◉<生命>が時代の理念となるとき(中原洋子)
コロナの次代を切り拓くために(大塚宏)
◉「見る」という術(田中泰子)
◉落下するマダニ 転移する琵琶法師(高木洋子)
◉ウイルスまみれのわたしに(小倉加奈子)


【三冊筋プレス】
◉理不尽な共生論(小倉加奈子)
◉うたかたの歌語り継ぐ夢ピアノ(細田陽子)
◉アリストテレスの子供たち(戸田由香)
◉英雄物語が僕らを悪から救う?(米川青馬)
アバターを育む読書の旅(福澤美穂子)
◉記憶多様化・読書世界(寺田充宏)
万法すすみて時を手放す(田中優子)
◉スマホを置いて町にでてみよう(鈴木哲也)
負のエントロピーが生む想像力(小路千広)
◉偏愛、万歳!(小濱有紀子)
◉プルーストを読み通す方法(松井路代)
◉黄色い本 セイゴオ・Mという名の先生(金宗代)

 

 

 

  • 金 宗 代 QUIM JONG DAE

    編集的先達:宮崎滔天
    最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
    photo: yukari goto

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。